訓練シミュレーター(1)
「ここまで、よく頑張ったわね。でも、ここで挫折する人が沢山いるのよ。
あなたも、その「沢山」の一人にならなければ良いんだけど」
教官である、エレナ・クライスは、成績表に目を通しながら言った。
「あの、これが最後のテスト、ですよね?」
神沢優花は、不安げに尋ねた。彼女は、宇宙パイロットを目指して今回の試験を
受けに来た一人である。
「そうよ。あとはこのバーチャルシミュレータでの実技試験だけ。
ただ、あなたの志望するアルテリア星系の試験は、他の地域よりも難易度が高いから、
気を付けてね。」
すでに恒星間定期便や、宇宙宅急便が一般化したこの世の中とはいえ、宇宙パイロットに
なるのは至難の業である。
また、パイロットの資格の内容も色々とランク分けがされている。
優花が選んだ「アルテリア星系」は、難易度が高いことで有名だが、このランクを取ると
宇宙全体ほぼどこでも行けるようになるというものである。
ただ、養成学校で常に成績がトップだった優花には、かなりの自信があった。
「それじゃ、始めるわよ。グッド・ラック」
エレナはそういうと、優花の座っていたシミュレーターの扉を閉め、プログラムを操作した。
「今回のお嬢さんは、精神崩壊を起こさなければいいけど...」
うすら寒い独り言をつぶやいた後、スタートボタンを押すのだった。
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