塔に住む魔女



塔に住む魔女(1)

「あそこに見える塔に、ウワサの魔女が住んでいるのか。ようやくたどり着いたな。
今日はひとまず休おんで、明日の朝出発することにしよう。」

まだ17歳であるベルネーは、幼い頃から鍛えられた剣の腕と、不安定ながらも
少し使える魔法とで、冒険家仲間では少し有名な方だった。
ただそれは、偉大な勇者であった父の影響も多く、本人の力で勝ち取った栄誉は
まだ少なかった。

「あの塔の魔女を倒せれば...」
そう思い立ったのは、冒険家の中でもよくウワサになる、リンガスの塔に住む魔女
の話を聞いてからだった。
リンガスの塔の魔女は、特に若い男性を好んで誘拐するという。
誘拐された男性は、数日後に城の近くの道ばたに返されるのだが、金品や衣服は
はぎ取られ、また1週間ほどは歩けないほど憔悴しきっているという。
しかも誘拐されている間の記憶はないらしく、「塔に住んでいる」ということ以外
は何も分からず、顔すら覚えていないのだ。

その魔女を倒すため、塔から最も近いシグリーズ村にやってきた頃は、すでに
日が傾き始めていた。
「どこか宿を探さないと... あ、こんなところに道具屋がある。先に、薬草とかを
揃えておくのも悪くないし、ここで宿の話を聞いてみよう。」

ベルネーが店にはいると、中には一人の女の子が店番をしていた。
金色の髪が、肩のすぐ下まで伸びている美少女で、ベルネーは「ゴクッ」と
息をのんでしまうほどだった。


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